01結論(3行)

職務経歴書で避けたいNG表現は、大きく4つの型に分かれます。判断の主語が消える表現、実態より誇張した表現、根拠のない数字、そしてどの応募先にも通用するテンプレ文言です。共通しているのは、採用側が知りたい「何を判断したか」が伝わらない点です。

NG表現を避ける作業は、文章をきれいに整える作業ではありません。判断の中身を言葉にし直す作業だと捉えてください。具体的な言い換えの手順は別記事で扱い、この記事では避けるべき表現の型と、その理由に絞って整理します。

02NG表現とは|職務経歴書で何が、なぜ避けられるべきか

職務経歴書のNG表現、4つの型 判断の主語が消える表現・実態より誇張する表現・根拠のない数字・汎用テンプレ文言という4つの型を、それぞれの特徴と採用側にどう伝わるかとあわせて示す図。 職務経歴書のNG表現、4つの型 共通しているのは「何を判断したか」が伝わらない点 1 判断の主語が消える表現 業務内容を「担当した」 「対応した」の形で並べる なぜ伝わらないか 何を考え動いたかが読めない 2 実態より誇張する表現 学習中の内容を「精通」 「熟知」と言い切る なぜ伝わらないか 深掘りされ説明が崩れやすい 3 根拠のない数字 裏付けを説明できない 件数や割合を書く なぜ伝わらないか 質問に答えられず信頼を損ねる 4 汎用テンプレ文言 「貴社の発展に貢献 したい」など応募先を問わない なぜ伝わらないか その応募先である理由が弱い
職務経歴書のNG表現、4つの型と採用側にどう伝わるかの対応

職務経歴書におけるNG表現とは、書いた本人に悪気が無くても、採用側に実務での判断力が伝わりにくくなる言い回しを指します。誤字脱字のような形式面の誤りとは別の問題です。

未経験からの転職では、前職の業務内容をどう書けばよいか分からず、無難な言い回しに寄ってしまうことがよくあります。無難さを優先した結果、書類全体が「何をしたか」の列挙にとどまり、「どう考えたか」が抜け落ちてしまいます。

採用側が書類を読むときに探しているのは、実務に転用できそうな判断の型です。NG表現の多くは、意図せずこの判断の型を見えなくしてしまう共通点を持っています。次の章では、代表的な4つの型を具体的に見ていきます。

03NG表現の具体例・分類

NG表現の型特徴なぜ伝わらないか
判断の主語が消える表現業務内容を「担当した」「対応した」の形で並べるだけ何を考え、どう動いたかが読み取れない
実態より誇張する表現学習中の内容を「精通」「熟知」と言い切る面接で深掘りされると説明が崩れやすい
根拠のない数字裏付けを説明できない件数や割合を書く質問に答えられず信頼を損ねる
汎用テンプレ文言「貴社の発展に貢献したい」など、応募先を問わず通用する言葉その人・その応募先である理由が伝わらない
職務経歴書の構成とNG表現が起きやすい箇所 職務要約・業務内容(職歴)・実績や成果・自己PRや志望動機という職務経歴書の代表的な4つの構成要素それぞれについて、起きやすいNG表現の型を対応づけた図。 職務経歴書の構成とNG表現が起きやすい箇所 代表的な構成要素ごとに、起きやすいNG表現の型を対応づける 職務要約 冒頭の要約文 型4:汎用テンプレ文言に注意 業務内容(職歴) 担当業務の記述 型1:判断の主語が消える表現に注意 実績・成果 数値・成果の記述 型3:根拠のない数字に注意 自己PR・志望動機 強み・応募理由の記述 型2:実態より誇張する表現に注意 どの型も、複数の構成要素にまたがって起こり得ます
職務経歴書の構成のうち、NG表現が起きやすい箇所の対応

1つ目の型は、業務内容の列挙にとどまる表現です。「SNS運用を担当」だけでは、何を判断してどう運用したかが分かりません。判断の要素を加えるには、何を見て何を決めたかを一言添える必要があります。

2つ目の型は、実態より誇張する表現です。学習を始めたばかりの内容を「SEOに精通」と書くと、面接で専門的な質問をされたときに説明が崩れやすくなります。学習段階に見合った言い方に置き換え、取り組んだ範囲を正確に伝えるほうが誠実に伝わります。

3つ目の型は、根拠のない数字です。「売上を大幅に改善」のように、裏付けを説明できない数字や表現を使うと、面接で根拠を聞かれたときに答えられなくなります。数字が思い浮かばない場合は、無理に数字を作らず、判断の理由を言葉で丁寧に説明してください。

4つ目の型は、汎用テンプレ文言です。「貴社の発展に貢献したいです」という一文は、どの応募先にも当てはまるため、その会社を選んだ理由としては弱くなります。応募先の求人情報や事業内容を踏まえた、具体的な理由に置き換える必要があります。

04よくある誤解・つまずきやすい点

1つ目の誤解は、NG表現を消すと文章が短くなってしまうという思い込みです。実際には、業務内容の列挙を判断と成果の記述に書き直す作業のため、分量はむしろ増えることが多くなります。

2つ目の誤解は、数字を入れれば入れるほど説得力が増すという思い込みです。根拠を説明できない数字は、かえって信頼を損なう原因になります。数字の有無より、根拠を説明できるかどうかが重要です。

3つ目の誤解は、謙遜のつもりで書いた「未経験なので至らない点も多いですが」といった一文です。意図とは逆に、自信の無さとして伝わりやすい表現になります。未経験であること自体は事実として簡潔に触れつつ、そこにどう向き合ってきたかをセットで示すほうが伝わります。

4つ目の誤解は、テンプレートの文例をそのまま使えば失敗しないという思い込みです。テンプレートはあくまで型であり、中身を自分の経験で埋めていない場合、汎用テンプレ文言と同じ問題が起きます。

05次に読むべき記事

NG表現を避けるだけでは、職務経歴書は完成しません。前職の経験をWebマーケティングの実務に言い換える具体的な手順は『職務経歴書に書くWebマーケター未経験者の実務経験の翻訳方法』で扱っています。

自分の強みをどう見つけるかで迷う場合は『未経験Webマーケターがアピールできる強みの見つけ方』も参考にできます。転職準備全体の中で書類がどの位置にあるかは『未経験からWebマーケターへ転職する準備、何をどの順で揃えるか』で整理しています。

WEBMARKSでは、卒業生の応募前書類を現役のWebマーケターが添削しています(出典:株式会社WEBMARKS サポート内容一覧)。この添削の場面でも、業務内容の列挙にとどまる書き方や、根拠のない数字は、共通して指摘されやすい傾向にあります。

06FAQ

NG表現は具体的に何個くらい直せばいいですか

個数の目安はありません。1つの表現を直すごとに、判断の主語が入っているか、根拠を説明できるかを確認する作業を、書類全体で繰り返してください。

謙遜する言葉は職務経歴書に書かない方がいいですか

過度な謙遜は避けたほうが無難です。未経験であることは事実として簡潔に触れつつ、そこにどう向き合ってきたかを示す書き方のほうが、採用側には前向きに伝わります。

専門用語を使わない方が安全ですか

必ずしもそうとは限りません。実際に学習・体験した範囲であれば、専門用語を使っても構いません。ただし、面接で説明できない用語を使うと、かえって評価を下げる原因になります。

テンプレートの例文をそのまま使ってはいけませんか

そのまま使うことはおすすめしません。テンプレートは文章の型として参考にし、中身は自分の経験に基づいた具体的な内容に置き換えてください。

数字が無い経験は、どう書けば伝わりますか

数字が無くても、判断の理由と結果を言葉で丁寧に説明すれば伝わります。数字は伝わりやすさを補う要素であり、必須の条件ではありません。

誇張と、自分の強みを前向きに伝えることの違いは何ですか

誇張は、実態を超えて言い切ってしまうことです。前向きに伝えることは、実際に取り組んだ範囲を、判断や工夫の視点を添えて説明することです。事実の範囲を超えるかどうかが分かれ目になります。

NG表現を直したかどうか、自分で確認する方法はありますか

書いた一文について、「面接でこの内容を深掘りされたら答えられるか」を自問する方法が有効です。答えに詰まる場合は、まだ誇張や根拠のない数字が残っている可能性があります。

職務経歴書とポートフォリオ、両方にNG表現のチェックは必要ですか

両方に必要です。書類の種類が違っても、判断の主語が消える表現や根拠のない数字は同じように起こります。ポートフォリオの作り方は『施策の根拠をどう見せるか、Webマーケター転職のポートフォリオ術』で扱っています。