01結論(判断の軸)
Webマーケターを目指すときの最初の一歩は、副業から始めるか、正社員転職から始めるかで大きく分かれます。どちらが優れているという話ではなく、今の状況に合った順番を選ぶことが重要です。
判断の軸になるのは「収入を止められるか」「勤務先が副業を認めているか」「実務経験をどちらの経路で先に得やすいか」の3つです。3つの進路(副業・転職・独立)の全体像は『Webマーケターになる3つの進路、副業・転職・独立をどう選ぶか』で扱っています。本記事は、そのうち副業と転職のどちらを最初の一歩にするかに絞って比較します。
02比較対象の整理(表)
副業から始める場合と、正社員転職から始める場合を、5つの項目で比較します。
表の5項目のうち、特に重視すべきは収入への影響と勤務先への申告です。残りの3項目は、収入と申告という土台が固まったあとに、動き出す速さや進路変更のしやすさとして効いてきます。
| 項目 | 副業から始める場合 | 正社員転職から始める場合 |
|---|---|---|
| 収入への影響 | 本業の収入を維持したまま試せる | 転職活動中に収入が不安定になる期間が生じうる |
| 勤務先への申告 | 就業規則の確認・届出が必要になりやすい | 現職の退職手続きが必要になる |
| 実務経験の得方 | 案件実績を少しずつ積み上げる | 入社後にまとまった実務経験を得やすい |
| 動き出すまでの準備 | 案件を探す入口を整えればすぐ動ける | 書類作成や面接対策の準備期間が要る |
| 並行のしやすさ | 転職準備と同時に進めやすい | 入社後の副業可否は勤務先の規定次第になる |
副業は今の生活を大きく変えずに動き出せる分、収入の伸びは緩やかになります。正社員転職は収入がまとまって変わる一方、準備と選考に一定の期間がかかります。副業の実務ロードマップは『Webマーケター副業、初案件を獲得するまでの実務ロードマップ』で扱っています。転職の準備は『未経験からWebマーケターへ転職する準備、何をどの順で揃えるか』で扱っています。
03判断基準①収入を止められるかどうか
最初に確認すべきは、今の収入を大きく減らさずに動き出せるかどうかです。貯蓄が少なく、毎月の支払いに余裕が無い場合は、収入を維持したまま準備できる副業の方が現実的です。
一方で、転職活動そのものは在職中でも進められます。退職を先に決める必要はなく、内定が出てから今の仕事を辞めるタイミングを選ぶ人が多くいます。収入を止めずに動きたいという点では、副業と在職中の転職活動はどちらも選択肢になります。
収入を止められるかどうかを判断するときは、生活費だけでなく、緊急時の出費に備えた貯蓄も含めて考える必要があります。目安として、数か月分の生活費をあらかじめ確保できていると、副業でも転職活動でも精神的な余裕を持って動きやすくなります。
04判断基準②勤務先が副業を認めているかどうか
副業を始めるには、勤務先の就業規則を確認する必要があります。就業規則は社内ポータルや入社時の配布資料に記載されていることが多く、見当たらない場合は人事担当者に確認するのが確実な手順です。副業・兼業に関する国の考え方は、厚生労働省が公式サイトで公開しています(厚生労働省)。
就業規則で副業が禁止されている場合、副業を最初の一歩にすることはおすすめできません。この場合は、正社員転職を最初の一歩にするか、副業が可能な会社への転職そのものを検討する方が現実的です。
判断に迷う場合は、人事担当者や社内の相談窓口に直接確認する方が、後からのトラブルを避けやすくなります。副業を始めてから規定違反が分かるより、始める前に確認しておく方が、結果的に時間の無駄になりません。
05判断基準③実務経験をどちらの経路で先に得やすいか
副業と転職では、実務経験を得る速さと形が異なります。WEBMARKSの集計では、転職サポートを継続的に受けた方の内定率は約9割(90.9%)でした(出典: WEBMARKS社内実績データ)。対象は2025年に活動を完了した約50名です。一方、副業案件で時給が判明している事例14件の平均は2,207円です(2020年〜2025年、出典: WEBMARKS社内実績データ)。
この2つの数字は対象も期間も異なる別々の集計であり、単純にどちらが優れているかを示すものではありません。転職は入社後にまとまった実務経験を得やすく、副業は小さな案件を積み上げながら実務経験を証明していく形になります。
編集部が個別相談を受ける際は、まず「収入がゼロの月があっても半年以上生活できるか」を確認します。次に「今の勤務先の就業規則で副業がどう扱われているか」を確認します。この2つの答えが決まると、最初の一歩をどちらにするかの方向性が見えやすくなります。
20代で扶養家族がいない場合と、30代以降で家族を扶養している場合とでは、同じ2つの質問への答えが同じでも、選ぶべき一歩が変わることがあります。家族の生活を支える立場であるほど、収入を止めるリスクを重く見る判断になりやすい傾向があります。
どちらの経路を選んでも、実務経験を証明する材料をどう残すかが後々重要になります。副業なら案件の成果物、転職なら入社後の担当施策を、それぞれ記録として残しておくと、次の進路を考えるときにも役立ちます。
06ケース別のおすすめ
これまでの3つの判断基準を踏まえ、状況別のおすすめを整理します。
- 勤務先が副業を明確に禁止している場合は、正社員転職を最初の一歩にする方が現実的です。
- 収入をすぐにまとまった形で変えたい場合は、正社員転職を優先する選択肢があります。
- 副業が可能で、収入を止めずに実務を試したい場合は、副業から始める選択肢が広がります。
- 副業も転職準備も同時に進めたい場合は、無理のない範囲で並行する方法もあります。
- 副業も転職も難しい状況の場合は、まず学習だけを進めながら、状況が変わるタイミングを待つという選択肢もあります。
- 家族の理解が得られていない場合は、進路を決める前に、収入や生活への影響を具体的な数字で共有しておくと話が進めやすくなります。
これらのケースに共通しているのは、完璧な条件が揃うまで動き出さないより、今できる小さな準備から始める方が結果的に早く進路を選べるという点です。最初の一歩が最終的な進路を決めるわけでもありません。
副業から転職へ、転職から独立へと、進路を動かしていく前提で考えると選びやすくなります。最初の一歩を選んだあとも、状況を定期的に見直す姿勢を持っておくと、進路を変えるタイミングを逃しにくくなります。
07FAQ
副業と転職、収入面ではどちらが早く変わりますか
正社員転職は、内定後に給与としてまとまった収入の変化が起きやすい選び方です。副業は収入の立ち上がりが緩やかで、最初の数か月は小さな金額から始まるケースが多くなります。
勤務先が副業を禁止している場合、どうすればいいですか
就業規則で副業が禁止されている場合、副業を最初の一歩にすることはおすすめできません。正社員転職を先に検討するか、副業を認めている会社への転職を含めて考える方が現実的です。
転職活動と副業の準備は同時に進められますか
在職中に転職活動を進めながら、副業の準備を並行することは可能です。ただし、両方を同時に本格化させると時間的な負荷が大きくなるため、優先順位を決めておく方がよいでしょう。
副業から始めた場合、転職はもうできませんか
そうではありません。副業で積んだ実務経験は、転職活動の職務経歴書やポートフォリオにそのまま使える場合が多くあります。副業から転職へ進路を動かす人も珍しくありません。
最初の一歩を間違えると、後戻りできませんか
最初の一歩が最終的な進路を固定するわけではありません。状況が変わったときに進路を見直す前提で考えれば、負担は小さくなります。
収入を止めずに実務経験を積む方法はありますか
在職中に転職活動を進める方法と、副業で少しずつ案件をこなす方法の2つがあります。どちらも収入を維持したまま実務経験を積める点は共通していますが、経験を得る速さと形が異なります。
貯金が少ない場合、副業と転職どちらを選ぶべきですか
貯金が少ない場合は、収入を大きく減らさずに動ける進路を優先する方が安全です。正社員転職は在職中に活動できるため、貯金の少なさだけを理由に副業を選ぶ必要はありません。
副業も転職も今はできない場合、何から始めればいいですか
今すぐどちらも動けない場合は、学習や情報収集から始めるという選択肢があります。状況が変わったタイミングで、副業と転職のどちらを最初の一歩にするかをあらためて判断できます。
年齢によって、副業と転職どちらが有利かは変わりますか
年齢そのものより、これまでの実務経験や生活状況の方が判断材料として重視されやすい傾向があります。年齢を理由に選択肢を狭めすぎず、3つの判断基準に沿って検討することをおすすめします。
転職エージェントと副業案件のエージェント、両方使ってもいいですか
両方を並行して使うこと自体に問題はありません。ただし、情報が増えすぎると判断に時間がかかるため、まず判断基準を先に決めてから使う方が効率的です。
副業から転職、転職から独立という順番以外もありますか
順番は人によって異なり、決まった型があるわけではありません。状況に応じて、転職の前に一時的に副業を挟む、独立の前に転職で経験を積み直すといった動き方も珍しくありません。
副業と転職、両方の情報を同時に集めても混乱しませんか
情報を集める段階では、混乱を避けるより、まず判断基準に沿って自分の状況を整理することを優先してください。整理ができていれば、情報が増えても判断がぶれにくくなります。