01インハウスとエージェンシーとは

インハウスは自社事業のマーケティングを担う体制、エージェンシーはクライアント企業の施策を代行する体制です。

Webマーケターが働く環境は、大きくインハウスとエージェンシーの2つに分かれます。インハウスは、自社の商品やサービスを持つ事業会社の中でマーケティング部門に所属する働き方です。エージェンシーは、広告代理店やSEO支援会社など、複数のクライアント企業の施策を横断的に担当する働き方を指します。

インハウスとエージェンシーの働く環境の違い 担当する案件数を縦軸、関わる業界の幅を横軸にした図。インハウスは案件数が少なく業界の幅も狭い(自社1社に集中)。エージェンシーは案件数が多く業界の幅も広い(複数クライアント・複数業界)。 インハウスとエージェンシーの働く環境の違い 担当する案件数×関わる業界の幅の2軸で位置づけ インハウス 案件数が少ない(自社1社) エージェンシー 案件数が多い(複数クライアント) 狭い 広い → 関わる業界の幅 ↑ 同時に担当する案件数 深さを取るか、幅を取るかという違いであり、優劣ではありません
インハウスとエージェンシーの働く環境の違いを、担当する案件数×関わる業界の幅の2軸で整理

両者は優劣ではなく、業務の範囲や1つの案件に関わる深さが異なります。インハウスは自社の事業に集中して深く関わり、エージェンシーは複数の業界・複数のクライアントに横断的に関わります。

自分がどちらに向いているかを考える前に、そもそも副業・転職・独立のどの進路を歩むかによっても、選べる環境は変わります。『Webマーケターになる3つの進路、副業・転職・独立をどう選ぶか』で、進路ごとの前提を先に整理しておくと判断しやすくなります。

02インハウスとエージェンシーの使われ方・具体例

インハウスのWebマーケターは、自社サイトの集客改善や自社サービスの広告運用、自社商品のコンテンツ制作を担当します。1つの事業を長期的に見続けるため、事業の数字と施策の関係を深く理解しやすい環境です。

エージェンシーのWebマーケターは、複数のクライアント企業から施策を受託します。1年のうちに複数業界のプロジェクトに関わることが多く、短期間で幅広い業種の知見を得やすい環境です。

働くうえでの目標設定にも違いがあります。インハウスは自社の売上や獲得件数といった事業KPIに直接責任を持つことが多く、施策の意思決定にも深く関わります。エージェンシーはクライアントが定めたKPIの達成を代行する立場のため、複数のクライアントの目標を並行して管理する力が求められます。

自社の転職支援データでは、2024年〜2025年に就職・転職の報告があった卒業生の内定先が、支援会社(代理店・SEO会社)と事業会社(インハウス)の両方に分かれていました。この集計は報告ベースであり、全卒業生を網羅するものではありません(出典: WEBMARKS社内実績データ)。

転職成功者の内定先、2つの分類 2024年〜2025年に就職・転職の報告があった卒業生の内定先は、事業会社(インハウス)と支援会社(代理店・SEO会社)の両方に分かれる。報告ベースの集計であり対象人数は非公表。 転職成功者の内定先、2つの分類 2024年〜2025年・報告ベースの集計(対象人数は非公表) 内定先 事業会社(インハウス) 例:自社サービスのマーケ部門 支援会社(代理店・SEO会社) 例:クライアント施策の代行 両方に内定実績があり、どちらか一方に限定されません
転職成功者の内定先が支援会社(代理店・SEO会社)と事業会社(インハウス)に分かれる分類図

未経験からの転職でも、インハウス・エージェンシーのどちらか一方に限定されるわけではないことが、この実績からうかがえます。実際にどちらを選ぶかは、業務の幅と深さのどちらを優先したいかで決まります。

役職名にも違いが見られます。インハウス側では、Webマーケティング担当・CRM担当・EC運営担当といった、事業部門に紐づく役職が中心です。エージェンシー側では、SEOコンサルタント・広告運用コンサルタント・アカウントプランナーなど、専門領域ごとの役職が中心になります。

03インハウスとエージェンシーのよくある誤解

「エージェンシーのほうがスキルが伸びる」という誤解がよく見られます。実際には、インハウスでも1つの事業を深く見続けることで、施策と成果の因果関係を検証する力が伸びやすい環境です。どちらが伸びるかは、業務の幅と深さのどちらを重視するかによって変わります。

「インハウスは案件の変化が少なくて退屈」という誤解もあります。自社の事業フェーズが変わるたびに、集客戦略や広告予算の配分も変わるため、事業の成長段階に応じた施策判断を経験できます。

もう1つ、「エージェンシーは激務で、インハウスは楽」という単純化も見られます。エージェンシーは同時に複数案件を抱えることが負荷になりやすい一方、インハウスも事業目標の達成責任を負う点では負荷があります。負荷の種類が違うだけで、どちらが軽いとは一概に言えません。

「エージェンシーの経験が無いと独立できない」という思い込みもよく見られます。インハウスで培った事業視点や、社内での予算獲得・関係者調整の経験も、独立後にクライアントへ提案する際の材料になります。どちらの環境で経験を積んでも、独立に向けた準備は進められます。

04関連用語

インハウスとエージェンシーに関連する用語を整理します。転職先を選ぶ段階になったら、あわせて確認してください。

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直取引クライアントと代理店を介さず直接契約する形態『Webマーケター案件獲得、直取引・代理店・エージェントの使い分け』
事業会社自社の商品・サービスを持つ企業(インハウスの雇用主)
支援会社クライアント企業の施策を代行する企業(エージェンシーの雇用主)
クライアントワーククライアント企業と直接向き合う実務全般
単価相場案件・雇用形態ごとの金額の目安『Webマーケターの単価相場、副業とフリーランスの実額データ』

05FAQ

インハウスとエージェンシー、どちらが未経験からのスタートに向いていますか

自社の転職支援データでは、未経験からの内定先は支援会社・事業会社の両方に分かれています。どちらか一方が未経験者に不利ということはなく、選考ではそれまでの準備の内容が重視されます。

インハウスからエージェンシーへ、あるいはその逆へ転職できますか

可能です。インハウスで事業視点を身につけたうえでエージェンシーへ移る人もいれば、エージェンシーで複数業種の経験を積んだうえでインハウスに移る人もいます。

エージェンシーは激務というイメージがありますが本当ですか

案件の掛け持ち数や繁忙期の有無は、所属する企業や担当する業務によって差があります。特定の会社を一般化して評価することはできないため、募集要項や面接で具体的な稼働状況を確認することが大切です。

独立する場合、インハウスとエージェンシーどちらの経験が有利ですか

独立後は複数のクライアントを掛け持ちする働き方になるため、エージェンシーで培った複数案件の同時進行の経験が生きる場面があります。一方、インハウスで事業成果への向き合い方を学んだ経験も、クライアントへの提案の質に生きます。どちらか一方が有利と単純化できるものではありません。

副業からでもインハウス・エージェンシーどちらかで働けますか

副業として業務委託契約を結ぶ場合、インハウス側・エージェンシー側のどちらからも案件を受けられます。募集形態や契約条件は案件ごとに異なるため、そのつど確認が必要です。

インハウスとエージェンシー、給与水準に違いはありますか

給与水準は業界・企業規模・経験年数によって差が大きく、環境の種類だけで一概に比較することはできません。求人ごとの条件を、募集要項や面接で個別に確認することをおすすめします。