01結論(判断の軸)

「副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要」という話は、副業を始める人の間で広く知られています。ただし、この理解には抜けている部分があります。

まず、対象になるのは「収入」ではなく「所得」です。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。次に、この特例が対象にしているのは所得税の確定申告だけです。住民税の申告は、一般に別途必要になります。

さらに、この特例の対象になるのは、給与を1か所から受けていて年末調整を受けている給与所得者など、一定の条件を満たす人に限られます。適用対象の詳細な条件は国税庁の公式情報でご確認ください。「20万円以下だから何もしなくていい」という理解は、正確ではありません。

この記事では、一般的にどう扱われているかを整理します。個別の判断は、所轄の税務署・お住まいの自治体・税理士にご確認ください。副業案件を獲得するまでの流れは『Webマーケター副業、初案件を獲得するまでの実務ロードマップ』で扱っています。

02比較対象の整理(表)

「20万円ルール」と呼ばれる特例について、一般的にどう扱われているかを整理しました。

項目一般的な扱い
対象になる金額の基準「収入」ではなく「所得」(収入-必要経費)
対象になりやすい人給与を1か所から受け、年末調整を受けている給与所得者など。
免除されるのは何の手続きか所得税の確定申告
免除されないもの住民税の申告(一般に別途必要)。
所得が20万円を超えた場合原則として所得税の確定申告が必要になる
収入から所得を計算し、20万円ラインを判定する関係 副業の収入から必要経費を差し引いて所得を求め、その所得が20万円以下かどうかで所得税確定申告の要否を判定する一般的な関係を示す図。住民税の申告は別枠であることも示す。 「収入」ではなく「所得」で20万円を判定 一般的な考え方の整理(詳細は国税庁の公式情報でご確認ください) 収入 案件から受け取った額 必要経費 業務にかかった費用 所得 20万円ラインの判定対象 所得が20万円以下なら 所得税の確定申告は不要になる場合がある 住民税の申告は別枠 一般に別途必要
「収入」から必要経費を引いた「所得」で20万円ラインを判定する関係を示す図

この表で最も誤解されやすいのは、「免除されないもの」の行です。所得税の確定申告が不要になっても、住民税の申告は別に必要になるのが一般的な扱いです。両者は別の手続きだと理解してください。

03判断基準①「収入」と「所得」の違いを区別する

このルールを正しく理解するための最初の判断基準は、「収入」と「所得」を混同しないことです。収入とは、案件から受け取った金額の合計です。所得とは、そこから必要経費を差し引いた金額を指します。

たとえば、副業案件からの収入が25万円で、経費として8万円かかっていた場合、所得は17万円になります。この例では、収入は20万円を超えていても、所得は20万円以下です。

必要経費として認められる範囲は、業務内容や状況によって個別に異なります。何が経費にあたるかの判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認することをおすすめします。

04判断基準②自分が「給与所得者」に該当するかを確認する

2つ目の判断基準は、自分がこの特例の対象になる「給与所得者」に該当するかどうかです。一般的には、正社員やパート・アルバイトとして1か所から給与を受け取り、勤務先で年末調整を受けている人が該当するとされています。

給与所得者に該当しない場合、たとえば複数の勤務先から給与を受けている場合や、そもそも給与所得が無い場合は、扱いが異なる可能性があります。自分がどちらに該当するか判断が難しい場合は、税務署や税理士に確認してください。

05判断基準③免除されるのは所得税の確定申告だけだと理解する

3つ目の判断基準が、この記事で最も伝えたい点です。副業の所得が20万円以下で、所得税の確定申告が不要になったとしても、住民税の申告は一般に別途必要になります。

所得税と住民税は、それぞれ別の制度です。所得税は国税庁、住民税はお住まいの自治体が扱う仕組みになっています。「所得税の申告が要らない」ことと「何もしなくていい」ことは、同じ意味ではありません。

住民税の申告を行わなかった場合にどのような扱いになるかは、自治体によって案内が異なります。申告の要否や具体的な手続きは、お住まいの市区町村の窓口に確認することをおすすめします。

なお、会社に副業の所得が知られる仕組みと、住民税の徴収方法(特別徴収・普通徴収)の関係については『就業規則で副業はどこまで認められるか、Webマーケターの確認手順』で扱っています。この記事では、申告そのものの要否を中心に整理しています。

06判断基準④所得が20万円を超えたとき・超えそうなときにすべきこと

副業の所得が年間で20万円を超える見込みが立った時点で、所得税の確定申告の準備を始めることをおすすめします。確定申告の期間は例年2月中旬から3月中旬ごろに設定されています。

WEBMARKSの実績データでは、案件獲得成功者の過半数が月収30万円以上に達しています。対象は2023年卒業後3か月以上経過した受講生200名です。この水準に近づいている場合、年間の所得は20万円のラインを早い段階で超える可能性があります。

案件が複数の月にわたる場合、年間の所得を見積もるタイミングが遅れると、準備が慌ただしくなります。開業届や青色申告の検討時期と合わせて、所得の見積もりを行うことをおすすめします。開業届を出すタイミングについては『副業Webマーケターが開業届を出すタイミングと書き方』で扱っています。

07ケース別のおすすめ

判断基準を踏まえ、状況別の考え方を整理します。

  • 給与所得者で、副業の所得が20万円以下の見込みの場合は、所得税の確定申告は不要になる場合があります。ただし、住民税の申告についてお住まいの自治体に確認してください。
  • 給与所得者で、副業の所得が20万円を超える見込みの場合は、所得税の確定申告の準備を進めてください。
  • 給与所得者に該当しない場合(複数の勤務先がある、専業のフリーランスであるなど)は、このルールがそのまま当てはまらない可能性があります。税務署や税理士に確認してください。
  • 「収入」と「所得」のどちらで20万円を判定すべきか迷う場合は、必要経費の範囲を先に整理してから判断してください。
  • いずれのケースでも、最終的な判断は所轄の税務署・お住まいの自治体・税理士にゆだねてください。
給与所得者か・所得20万円超かによる申告要否の分岐 給与所得者に該当するかどうか、副業の所得が20万円を超えるかどうかで、所得税の確定申告と住民税の申告それぞれの要否が変わる一般的な分岐を示す図。 給与所得者か・所得20万円超かで申告要否は変わる 断定はできません。最終判断は税務署・自治体・税理士へ 給与所得者に該当? いいえ はい 対象外の可能性 税務署・税理士に確認 所得は20万円以下? はい いいえ 所得税の確定申告 原則不要 住民税の申告 一般に別途必要 所得税の確定申告 必要になる
給与所得者かどうか・所得が20万円を超えるかどうかで、所得税確定申告と住民税申告それぞれの要否が変わる分岐を示す図

08FAQ

20万円ルールとは何ですか

副業などの所得が年間20万円以下の場合に、所得税の確定申告が不要になるとされる取り扱いを指します。対象になる金額は「収入」ではなく「所得」です。

20万円は「収入」ですか「所得」ですか

「所得」です。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。収入が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下になる場合があります。

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要ですか

一般的に、住民税の申告は別途必要になるとされています。所得税と住民税は別の制度であるため、混同しないよう注意してください。

住民税の申告をしないと、どうなりますか

自治体によって案内や取り扱いが異なります。申告の要否や具体的な手続きは、お住まいの市区町村の窓口に確認することをおすすめします。

このルールは、どんな人が対象ですか

一般的には、給与を1か所から受け、年末調整を受けている給与所得者などが対象とされています。給与所得者に該当しない場合は、扱いが異なる可能性があります。

副業の所得が20万円ちょうどの場合はどうなりますか

「20万円以下」の解釈や具体的な境界の扱いは、正確な定義を国税庁の公式情報でご確認ください。この記事では一般的な考え方の整理にとどめ、境界線上のケースの断定はしません。

複数の副業をしている場合、20万円はどう計算しますか

複数の副業がある場合、それぞれの所得を合算して判定するのが一般的な考え方です。合算方法の詳細は国税庁の公式情報でご確認ください。

フリーランスとして独立した後も、このルールは使えますか

このルールは主に給与所得者を対象にした取り扱いとされています。独立して給与所得者でなくなった場合の扱いは異なる可能性があるため、税理士や税務署に確認することをおすすめします。

20万円ルールを使えば、税金を払わなくていいのですか

所得税の確定申告が不要になる場合でも、住民税の申告は別途必要になるのが一般的です。税金そのものが免除されるという意味ではない点に注意してください。

この記事の情報は、いつ時点のものですか

本記事は2026年8月7日時点で確認できる一般的な情報を整理したものです。税制は改正される可能性があるため、最新の内容は国税庁の公式サイトやお住まいの自治体、税理士にご確認ください。