01この記事でできるようになること
請求書に何を書けばよいか、インボイス制度に対応するとどこが変わるかが分かります。
インボイス制度に登録するかどうかの判断そのものは、この記事では扱いません。登録の要否は取引先との関係や自分の状況によって変わるため、判断材料は税理士や国税庁の公式情報を確認してください。この記事は、書式・記載項目・送付という請求書の実務に絞って解説します。
02前提(対象読者・必要な準備)
対象になるのは、案件を受注し、報酬を請求する立場になった人です。副業・フリーランスいずれも対象になります。
単価相場の全体像は『Webマーケターの単価相場、副業とフリーランスの実額データ』にまとめています。準備として、見積書や契約書に記載した金額・支払条件を手元に用意しておいてください。見積書の作り方は、お金と契約デスクの別の記事で扱っています。
03手順1|請求書に入れる必須項目を揃える
請求書に最低限入れておきたい項目を整理します。
| 分類 | 記載する内容 |
|---|---|
| 発行日 | 請求書を発行した日付 |
| 請求書番号 | 案件や取引先ごとに重複しない番号 |
| 請求元情報 | 氏名または屋号、住所、連絡先 |
| 請求先 | 発注者の会社名・担当者名 |
| 件名 | どの案件に対する請求かが分かる名称 |
| 金額内訳 | 項目ごとの金額、消費税額、合計金額 |
| 支払期日 | いつまでに支払ってほしいか |
| 振込先 | 金融機関名・支店名・口座番号・口座名義 |
このうち、請求書番号と支払期日は見落とされやすい項目です。請求書番号が無いと、複数の案件を抱えたときに、どの請求書がどの入金と対応するか分かりにくくなります。支払期日を書かないと、発注側にいつまでに支払うべきかが伝わらず、入金が遅れる原因になります。
屋号を使う場合は、開業届を提出しておくと請求元情報にも記載しやすくなります。屋号の使い方や開業届の出し方は『副業Webマーケターが開業届を出すタイミングと書き方』で扱っています。
04手順2|請求書のサンプルで全体像をつかむ(架空の例)
項目の一覧だけでは、実際にどう埋めるかがつかみにくいため、請求書の完成形を見てみます。次に示すのはすべて架空の例です。実在する企業・個人ではありません。
架空の案件として、個人事業主「見積花子」(架空の例)を想定します。適格請求書発行事業者として登録している状態で、架空の発注先「株式会社サンプル商事」へ、Instagram運用代行の8月分を請求する場面です。
請求書のヘッダー部分(架空の例)
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 発行日 | 2026年9月1日 |
| 請求書番号 | INV-2026-0034 |
| 請求元 | 見積花子(屋号:サンプルマーケティング) |
| 適格請求書発行事業者登録番号 | T1234567890123 |
| 請求先 | 株式会社サンプル商事 マーケティング部 山田様 |
| 件名 | Instagram運用代行業務 8月分 御請求書 |
適格請求書発行事業者として登録している場合、登録番号は請求元情報のすぐ近くに書いておくと、発注側の確認作業がスムーズになります。
金額内訳、税率ごとに区分(架空の例)
| 項目 | 金額(税抜) | 適用税率 | 消費税額 |
|---|---|---|---|
| Instagram運用代行 | 80,000円 | 10% | 8,000円 |
| 追加投稿2件分 | 6,000円 | 10% | 600円 |
| 小計 | 86,000円 | ー | 8,600円 |
| 合計金額(税込) | 94,600円 |
支払期日は「2026年9月30日」、振込先は「◯◯銀行 ◯◯支店 普通1234567 見積花子」のように、合計金額の下にまとめて書きます(いずれも架空の例)。
適格請求書発行事業者として登録していない場合は、この登録番号の行と、税率ごとの消費税額の区分表示が不要になります。ただし取引先によっては別の書式を求められることがあるため、手順3で扱う記載事項の違いも確認しておいてください。
05手順3|インボイス制度に対応した請求書の記載事項を確認する
インボイス制度に登録している場合、請求書には通常の記載項目に加えて、いくつかの事項を追加する必要があります。
一般には、登録番号の記載や、税率ごとに区分した金額表示が必要とされています。登録していない場合はこれらの追加記載は不要ですが、取引先によっては別の対応を求められることがあります。
登録するかどうかの判断は、取引先が課税事業者かどうか、自分の売上規模、今後の取引方針など、複数の要素で変わります。この記事では登録の要否を判断せず、書式面の違いだけを整理しています。判断に迷う場合は、税理士や国税庁の窓口に確認することをおすすめします。
制度の詳細は、改正や運用状況によって変わる可能性があります。本記事は2026年8月7日時点の一般的な理解にもとづいて記載しています。最新の内容は、国税庁の公式サイトで確認してください。
06手順4|請求書の送り方を決める
請求書の送り方には、メールに添付する方法、郵送する方法、クラウド請求書サービスを使う方法などがあります。どの方法を使うかは、取引先の運用に合わせるのが基本です。
発注側が指定のフォーマットやシステムを持っている場合は、それに従います。指定が無い場合は、自分でテンプレートを用意し、PDFなど改変されにくい形式で送付すると、金額の誤読を防ぎやすくなります。
電子データで受け取った請求書の保存方法には、電子帳簿保存法に関わるルールがあります。保存方法に迷う場合は、税理士に確認することをおすすめします。
07手順5|支払期日と入金確認、未払い時の一次対応
請求書を送ったら、支払期日までに入金があったかを確認します。入金の確認は、通帳やネットバンキングの記録と、請求書番号を照らし合わせて行うと、案件が増えても管理しやすくなります。
支払期日を過ぎても入金が確認できない場合は、まず丁寧な確認の連絡を入れます。行き違いや事務処理の遅れであることも多く、催促というより確認という姿勢で連絡すると、関係を損ないにくくなります。以下は、その段階を分けたメール文例です。いずれも架空の例であり、実在するやり取りではありません。
確認メールの例(1通目、支払期日を数日過ぎた段階、架空の例)
件名:【ご確認】8月分Instagram運用代行費のお支払いについて 株式会社サンプル商事 山田様 いつもお世話になっております。サンプルマーケティングの見積花子です。 8月分のInstagram運用代行費(請求書番号INV-2026-0034、金額94,600円)について、9月30日を支払期日としてご請求しておりました。 本日時点でご入金が確認できておりませんでしたので、念のためご連絡いたします。 手続きの都合等で行き違いになっている可能性もございますので、お手すきの際にご確認いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。
1通目は、行き違いの可能性を前提にした確認の姿勢で書きます。相手の落ち度を決めつけない書き方にすると、その後のやり取りが続けやすくなります。
確認メールの例(2通目、1通目から1〜2週間経過しても未入金の段階、架空の例)
件名:【再度のご確認】8月分Instagram運用代行費のお支払いについて 株式会社サンプル商事 山田様 お世話になっております。サンプルマーケティングの見積花子です。 9月10日に一度ご連絡いたしました、8月分Instagram運用代行費(請求書番号INV-2026-0034、金額94,600円)について、本日時点でもご入金の確認ができておりません。 恐れ入りますが、お支払い状況をご確認いただき、対応の見込みをお知らせいただけますでしょうか。 ご不明点がございましたら、あわせてお知らせください。 よろしくお願いいたします。
2通目は、1通目より一歩踏み込み、対応の見込みを具体的に尋ねる書き方にします。感情的な表現は避け、事実(請求書番号・金額・経過日数)を淡々と並べることを意識してください。
確認の連絡をしても入金が無い場合は、契約書や見積書に記載した支払条件を確認したうえで、対応を検討します。金額が大きい、または繰り返し未払いが起きる場合は、早い段階で弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
08手順6|請求書を保存・管理する
発行した請求書は、案件ごとに控えを保存しておきます。保存期間は税法上の定めがあり、具体的な年数はこの記事では断定しません。
確定申告の際、請求書の控えは収入を証明する重要な書類になります。日頃から請求書番号や金額を一覧にして管理しておくと、確定申告の時期にまとめて慌てずに済みます。
フリーランスとして独立した後は、請求書を発行する頻度も増えていきます。独立の判断基準は『Webマーケターとして独立する判断基準、いつどう決めるか』で扱っています。
09つまずきポイント(失敗例つき)
請求書でよくあるつまずきを整理します。
- 請求書番号を付けず、複数案件の入金確認が分かりにくくなる
- 支払期日を書かず、入金のタイミングが発注側任せになってしまう
- インボイス制度の登録状況を取引先に確認せず、記載事項の認識がずれる
- 見積書の金額と請求書の金額が一致しているか確認しないまま送付する
- 未払いに気づいてから、契約書や見積書の内容を確認していないことに気づく
支払期日を明記しないまま請求書を送ってしまうと、入金のタイミングが発注側の裁量に委ねられ、想定より遅れても催促のきっかけをつかみにくくなります。請求書には支払期日を明記してください。
10完了の確認方法(できたかどうかの判断基準)
次を満たしていれば、請求書として送れる状態です。
- 発行日・請求書番号・請求元情報・請求先が書かれている
- 金額内訳、消費税の扱い、支払期日、振込先が書かれている
- インボイス制度の登録状況に応じた記載事項を確認したうえで記載している
- 見積書や契約書の金額と一致しているか確認した
一つでも欠けている場合は、送付前に見直してください。
11FAQ
請求書には何を書けばよいですか
発行日、請求書番号、請求元と請求先の情報、件名、金額内訳、支払期日、振込先が基本の項目です。詳しくは手順1で整理しています。
インボイス制度に登録していない場合、請求書は書けませんか
書けます。登録していない場合は、インボイス制度で追加される記載事項が不要になりますが、取引先によっては別の対応を求められることがあります。
インボイス制度に登録するかどうかは、どう判断すればいいですか
取引先の状況や自分の売上規模など、複数の要素で判断が変わります。この記事では登録の要否は扱わないため、税理士や国税庁の窓口に確認することをおすすめします。
請求書の消費税はどう記載すればいいですか
税率ごとに区分して記載することが一般的とされています。具体的な記載方法は、国税庁の公式サイトで確認してください。
支払いが遅れている場合、どう対応すればいいですか
まずは丁寧な確認の連絡を入れます。行き違いであることも多いため、催促というより確認という姿勢が関係を損ないにくくなります。繰り返し未払いが起きる場合は、専門家への相談を検討してください。
請求書はどれくらいの期間、保存しておく必要がありますか
保存期間は税法上の定めがあるため、この記事では具体的な年数を断定しません。国税庁の公式情報で確認してください。