01この記事でできるようになること

この記事を読むと、実績がまだ無い状態でも、発注側の判断軸に沿った営業文の骨子を組み立てられるようになります。書ける材料の見つけ方と、文章の型を扱います。

この記事は「この文面を送れば確実に受注できる」という保証をするものではありません。例文はあくまで型を学ぶための一例として提示します。募集内容や状況が変われば、響き方も変わります。

02前提(対象読者・必要な準備)

対象読者は、副業でWebマーケターの案件にこれから応募・提案しようとしている、実務経験がまだ少ない人です。すでに何件か受注している場合は、単価交渉や継続契約を扱う記事の方が参考になります。

準備するものは3つあります。学習で作った成果物や取り組んだ内容のメモ、応募したい募集文のサンプル、自分が対応できる時間帯の一覧です。特別なツールや費用は必要ありません。

副業でWebマーケターの初案件を獲得するまでの全体像は『Webマーケター副業、初案件を獲得するまでの実務ロードマップ』で扱っています。案件の入口をクラウドソーシングにするか直接応募にするかは『Webマーケター副業、1件目をクラウドソーシングで取るか直接応募か』で扱っています。この記事は、入口を決めたあとに書く営業文の中身に絞って手順化したものです。

03手順1|発注側が営業文のどこを見ているかを理解する

営業文を書く前に、発注側が何を基準に依頼先を決めているかを知っておく必要があります。経歴の長さよりも、今どれだけ具体的に進め方を示せているかが見られる傾向があります。

発注側が重視する点は、大きく3つに整理できます。募集文に書かれた悩みをどれだけ理解しているか、想定する進め方がどれだけ具体的か、質問や連絡へのレスポンスの速さです。

発注側が営業文で見ている3つの判断軸と経験年数の重み 発注側が営業文で重視する悩みの理解度・進め方の具体性・レスポンス速度の3軸は、経験年数そのものより比較検討で重みを持ちやすいことを横棒で示す図。 発注側が見ているのは経験年数だけではない 経験年数 実績ゼロだと弱い 悩みの理解度 実績ゼロでも示せる 進め方の具体性 最も差が付きやすい軸 レスポンス速度 受注後も継続して重要 経験年数がそのまま評価に直結するわけではない。実績が少なくても 具体的な進め方を示せれば、比較検討の対象に残りやすい。
発注側が営業文で見ている3つの判断軸(悩みの理解度・進め方の具体性・レスポンス速度)と、経験年数の重みの比較

経験年数がそのまま評価に直結するわけではありません。実績が少ない人でも、募集文の悩みに対する理解と、具体的な進め方を示せれば、比較検討の対象に残りやすくなります。

04手順2|実績が無い状態で書ける材料を洗い出す

実績が無くても、営業文に書ける材料は複数あります。学習の中で作った成果物、模擬案件として取り組んだ内容、これまでの職務経験の中でWebマーケティングに近い業務があれば、それも材料になります。

成果物が無い場合でも、募集文を読んで自分ならどう進めるかを短く整理しておくだけで、営業文の材料になります。抽象的な自己PRより、具体的に「何を、どんな順番で進めるか」を書ける方が伝わりやすくなります。

未経験からの実務経験の翻訳方法は『職務経歴書に書くWebマーケター未経験者の実務経験の翻訳方法』でも扱っています。営業文と職務経歴書は用途が異なりますが、材料の見つけ方には共通する部分があります。

05手順3|営業文の骨子を4つの要素で組み立てる

材料が集まったら、営業文の骨子を組み立てます。骨子は4つの要素で構成します。募集内容の要点を自分の言葉で言い換える、想定する進め方を示す、確認したい点を書く、対応可能な時期を書く、の4つです。

営業文の骨子を構成する4つの要素 募集内容の言い換え、想定する進め方、確認したい点、対応可能な時期という4つの要素を、左から右への順番で並べた骨子の構成図。 営業文の骨子、4つの要素 1 募集内容の 言い換え 2 想定する 進め方 3 確認したい点 4 対応可能な 時期 4つの要素が過不足なく伝われば、営業文の長さは長くなくてよい 募集文特有の言葉を拾って言い換えると、内容の理解が伝わりやすい
営業文の骨子を構成する4つの要素(募集内容の言い換え→想定する進め方→確認したい点→対応可能な時期)の並び

募集内容を言い換える部分は、テンプレートをそのまま貼るのではなく、その募集文特有の言葉を拾って書くと伝わりやすくなります。読んだ相手に「内容を理解したうえで送ってきている」と伝わりやすくなるためです。

想定する進め方は、細かすぎる必要はありません。最初の1週間で何をするか程度の粒度で十分です。確認したい点は、業務範囲や納期など、契約前に詰めておきたい事項を簡潔に書きます。

06手順4|例文を確認し、自分の状況に置き換える

ここでは、同じ状況を想定したNG例とOK例を並べて示します。どちらも架空の例であり、特定の応募者や案件を示すものではありません。この文面をそのまま送れば受注できるという保証もありません。

【NG例・架空の例】はじめまして。Webマーケティングを学習しており、SEOも広告も分析もひととおり対応できます。実績はまだ少ないですが、誠実に対応いたしますので、ぜひご検討よろしくお願いいたします。

このNG例には、募集文の内容への言及も、具体的な進め方も含まれていません。「できます」の羅列だけでは、発注側は何を任せられるか判断しづらくなります。実績が少ないことへの言及も、謝罪だけで終わっており、代わりに示せる材料がありません。

【OK例・架空の例】はじめまして。貴社の募集を拝見し、〇〇(募集文で言及されていた課題)に対応できると考え、ご連絡しました。これまで学習と模擬案件で、△△(取り組んだ内容)を経験しています。

まずは□□(最初の1週間で行うこと)から着手し、進捗をこまめに共有しながら進める形を想定しています。業務範囲と納期について、事前にご相談できればと思います。対応可能な時期は◯月からです。よろしくお願いいたします。

OK例では、募集文の課題への言及、取り組んできた内容、最初の進め方、確認したい点、対応可能な時期の5つが順番に示されています。この例文の4つの要素(言い換え・進め方・確認事項・対応時期)を、自分の状況に合わせて書き換えてください。募集文の内容によって、強調すべき部分は変わります。

同じ骨子でも、募集文の業種によって、言い換える言葉は変わります。例として、2つの業種向けの言い換え例を示します(いずれも架空の例)。

【EC事業者向けの言い換え例・架空の例】貴社の募集を拝見し、リピート率の改善というお悩みに対応できると考え、ご連絡しました。学習と模擬案件で、既存顧客向けの販促メール施策の立案を経験しています。まずは購入者データの傾向整理から着手し、進捗を共有しながら進める形を想定しています。

【士業・専門サービス事業者向けの言い換え例・架空の例】貴社の募集を拝見し、問い合わせ件数を増やしたいというお悩みに対応できると考え、ご連絡しました。学習と模擬案件で、専門サービスのLP構成案の作成を経験しています。まずは現状のページ構成の洗い出しから着手し、進捗を共有しながら進める形を想定しています。

このように、募集文が抱える課題に応じて言い換える部分を変えるだけで、骨子そのものは使い回せます。業種名や専門用語を無理に盛り込む必要はなく、募集文の言葉をそのまま拾うほうが伝わりやすくなります。

07手順5|送る前にセルフチェックする

送信前に、いくつかの点をセルフチェックします。抽象的な自己PRだけで終わっていないか、募集文の内容に触れずテンプレートのまま送っていないか、金額の提示が極端に低くなっていないかを確認します。

営業文のNG例とOK例の対比 抽象的な自己PRのみで終わるNG例と、募集内容への言及と具体的な進め方を示すOK例を左右に並べて対比した図。 営業文、NG例とOK例 NG例 ・SEOも広告も分析もできます ・実績が無くすみません ・募集内容への言及なし ・同じ文面を使い回し → 発注側の判断材料に なりにくい OK例 ・募集文の悩みへの言及 ・最初の1週間の進め方 ・確認したい点を明記 ・対応可能な時期を明記 → 比較検討の対象に 残りやすい この例文もそのまま使う保証はなく、あくまで型を学ぶための一例です
営業文のNG例とOK例の対比(抽象的な自己PRのみ/募集内容への言及と具体的な進め方)

誤字脱字や、宛先の会社名・担当者名の間違いも、細かいようで印象を左右します。送信前に一度、声に出して読み返すと、不自然な言い回しに気づきやすくなります。

金額の提示は、平均値をそのまま使うのではなく、案件の内容に応じて考える姿勢が大切です。単価の考え方は『Webマーケターの単価相場、副業とフリーランスの実額データ』で扱っています。

08つまずきポイント(失敗例つき)

実績ゼロの状態で営業文を書くときにつまずきやすい点を、いくつか整理します。

1つ目は、できることを羅列するだけの抽象的な自己PRに終始してしまうことです。「SEOも広告も分析もできます」といった書き方は、発注側にとって判断材料になりにくい傾向があります。

2つ目は、実績が無いことを謝りすぎてしまうことです。謝罪の言葉を重ねるより、今できることを具体的に示す方が、発注側の印象は良くなりやすいと考えられます。

3つ目は、同じ文面を複数の募集に使い回し、個別の内容に触れずに送ってしまうことです。募集文への言及が無いと、テンプレートをそのまま送っただけだと受け取られる場合があります。

4つ目は、実績の少なさを理由に、金額を極端に低く提示してしまうことです。初回の価格は、その後の交渉の基準になりやすい傾向があります。

抽象的な自己PRに終始した提案は、発注側にとって判断材料が乏しく、通りにくい傾向があります。進め方を具体的に書くことは、実績が無い段階でも取り組める工夫の一つです。

09完了の確認方法(できたかどうかの判断基準)

営業文が機能しているかどうかは、返信率で確認できます。複数の募集に送ってみて、返信が来る割合を記録しておくと、内容の見直しが必要かどうかが判断しやすくなります。

返信がまったく無い状態が数週間続く場合は、募集文への言及があるか、進め方が具体的か、金額の提示が適切かを見直すタイミングです。経路そのものを変える前に、まず内容を見直すことをおすすめします。

返信があっても契約に至らない場合は、確認したい点の書き方や、対応可能な時期の伝え方に改善の余地があるかもしれません。1件ずつ振り返りながら、自分なりの型を育てていく姿勢が有効です。

営業文の型ができたら、次は3か月間の優先順位を意識する段階に進みます。

10FAQ

実績が全く無くても案件は取れますか

小さい案件であれば、実績ゼロからでも受注している人は珍しくありません。抽象的な自己PRより、想定する進め方や書ける材料を具体的に示すことが判断材料になります。

例文をそのまま使ってもいいですか

おすすめしません。例文は骨子の型を示すための一例であり、募集内容によって強調すべき部分が変わります。自分の状況と募集文の内容に合わせて書き換えてください。

金額はどう書けばいいですか

金額の提示は、極端に低くしすぎないことが大切です。単価の考え方は『Webマーケターの単価相場、副業とフリーランスの実額データ』で扱っています。

断られた場合、どう対応すればいいですか

断られた理由が分かる場合は、次の営業文の見直しに活かせます。理由が分からない場合でも、内容や金額の提示を振り返り、次の提案に反映させることをおすすめします。

学習中に作った成果物は営業文に使えますか

使えます。実務経験が無くても、学習過程で作った成果物や模擬案件の内容は、進め方を具体的に示す材料になります。

複数の募集に同じ文面を送っていいですか

骨子の型を使い回すこと自体は問題ありません。ただし、募集内容への言及部分は個別に書き換える必要があります。テンプレートのまま送ると、内容を理解していないと受け取られる場合があります。

敬語のトーンはどれくらい丁寧にすべきですか

一般的なビジネス文書としての丁寧さがあれば十分です。過度にかしこまった表現より、要点が伝わりやすい簡潔な文章の方が読みやすい傾向があります。

発注側から返信が来ません。何から見直せばいいですか

まず、募集内容への言及があるか、進め方が具体的かを確認してください。それでも改善が見られない場合は、対応可能な時期や金額の提示を見直す順番になります。

営業文と職務経歴書は何が違いますか

営業文はその案件に応募するための短い文章で、職務経歴書は経歴全体をまとめた書類です。用途が異なるため、書く粒度や長さも変わります。

営業文の長さはどれくらいが目安ですか

長すぎず、4つの要素(言い換え・進め方・確認事項・対応時期)が過不足なく伝わる長さが目安です。読み手が最後まで読み切れる分量を意識してください。