01結論(判断の軸)

副業Webマーケターが収入を伸ばす方法は、大きく分けて2つあります。ひとつは案件の数を増やすこと、もうひとつは1件あたりの単価を上げることです。単価交渉そのものの進め方は『Webマーケターの単価交渉、実額の目安と自分で記録する方法』で扱っています。この記事では、案件数を増やす方向と単価を上げる方向のどちらを優先すべきかという判断軸に絞って整理します。

判断の軸は2つです。使える時間にどれだけ余力があるか、そして単価交渉の材料になる実績や専門性がどれだけ言語化できているかです。時間の余力が乏しく実績も語れる段階では単価を上げる方向、時間に余力があり実績がまだ薄い段階では案件数を増やす方向が、基本の考え方になります。

副業は本業と両立している以上、使える時間には上限があります。案件数を増やす選択肢は、この上限に早くぶつかりやすい方法だという点を、先に押さえておいてください。

02比較対象の整理(表)

案件数を増やす場合と単価を上げる場合の時間と収入の伸び方 横軸に稼働時間、縦軸に収入をとった概念図。案件数を増やす方向は稼働時間の増加に比例して収入が伸びるが本業との両立で時間に上限がある。単価を上げる方向は稼働時間をほぼ変えずに収入が伸びる。実測データではなく傾向を示す概念図。 時間と収入の伸び方(概念図) 実測データではなく、伸び方の傾向を示す図です 稼働時間(本業と両立できる範囲に上限あり) 収入 案件数を増やす 時間の上限にぶつかりやすい 単価を上げる 同じ時間でも収入が伸びる 副業で使える時間の上限
案件数を増やす場合と単価を上げる場合、時間の使い方と収入の伸び方の比較
案件数を増やす単価を上げる
収入の伸び方案件数に比例して増える同じ稼働時間でも増える
必要になる時間案件が増えるほど稼働時間も増える稼働時間を大きく変えなくてよい
必要な材料営業を続ける行動力、案件を切らさない仕組み実績を言語化する力、交渉の材料
実現までの期間比較的早く着手しやすい実績づくりに一定の期間がかかりやすい
主なリスク稼働時間が本業と衝突し、質が落ちやすい交渉が通らず、案件そのものを失う可能性がある

表のとおり、案件数を増やす方向は着手しやすい一方、時間の上限に早くぶつかります。単価を上げる方向は時間を圧迫しにくい一方、交渉の材料と実行のハードルがあります。どちらが優れているかではなく、今の自分の状況にどちらが合うかで選ぶ判断です。

参考までに、WEBMARKSの卒業生データでは、時給が判明している14件の平均は2,207円です。同じ集計には、時給5,000円で契約した事例も含まれます。対象期間は2020年から2025年です(出典: WEBMARKS社内実績集計)。この幅は交渉の効果を示す数字ではなく、副業案件の時給に一定の差があるという実態を示す数字です。

03判断基準1|使える時間にどれだけ余力があるか

案件数を増やす方向は、稼働時間が増えることが前提になります。本業の繁忙期や家庭の事情で使える時間が限られている場合、案件を増やしても対応しきれず、既存の依頼元への対応の質が落ちるおそれがあります。

時間の余力が乏しい場合は、まず単価を上げる方向を優先したほうが、無理のない伸ばし方になります。本業と両立しながら副業の時間をどう確保するかは『本業と両立しながらWebマーケター副業の時間を作る具体的な方法』で扱っています。

04判断基準2|実績や専門性をどれだけ言語化できているか

単価を上げるには、これまでの実績や専門性を、依頼元が納得できる形で説明できることが前提になります。実績がまだ少なく、言語化できる材料が乏しい段階では、交渉自体が難しくなります。

実績がまだ薄い場合は、案件数を増やして経験と説明できる材料を積み上げる方向が現実的です。実績が積み上がってから、あらためて単価を見直す流れが無理のない進め方になります。

判断の流れを文章でも整理します。まず使える時間に余力があるかを確認してください。余力が乏しければ、単価を上げる方向を検討します。

余力がある場合は、次に実績を言語化できるかを確認してください。言語化できる材料が乏しければ案件数を増やす方向、材料がそろっていれば、どちらの方向も選べる状態にあるということです。

時間の余力と実績の言語化度合いで分岐する優先順位 縦軸に時間の余力(乏しい/ある)、横軸に実績の言語化度合い(薄い/できている)をとった2×2の判断マトリクス。時間が乏しく実績を語れる場合は単価を上げる方向、時間があり実績が薄い場合は案件数を増やす方向、時間が乏しく実績も薄い場合はまず実績の言語化を優先、時間があり実績もある場合は単価改定のタイミングを探る。 時間の余力 × 実績の言語化で決める優先順位 2つの軸の組み合わせで、進む方向が変わります 時間の余力ある 時間の余力乏しい 実績の言語化:薄い 実績の言語化:できている 案件数を増やす 単価改定のタイミングを探る まず実績を言語化する 単価を上げる
時間の余力と実績の言語化度合いで分岐する優先順位の判断

シミュレーション例(架空の3パターン)

時間の余力と実績の言語化度合いを組み合わせた、架空の3パターンを示します。

パターンA|時間の余力は少ないが、実績は言語化できる(架空の例)

本業が繁忙期で、稼働時間は週5時間ほどしか確保できない状態です。すでに3件の案件を継続的にこなしており、成果を数字で説明できる材料もそろっています。このケースでは、案件数を増やすと対応しきれなくなるため、既存の依頼元との単価交渉を優先する判断になります。

パターンB|時間の余力はあるが、実績はまだ薄い(架空の例)

副業を始めて2か月で、週15時間程度の稼働時間を確保できています。ただし対応した案件は1件のみで、実績として語れる材料はまだ少ない状態です。このケースでは、単価交渉の材料が乏しいため、案件数を増やして経験と実績を積み上げる判断になります。

パターンC|時間の余力も実績もある(架空の例)

週20時間の稼働時間を確保でき、継続案件を2件持ちながら、成果を言語化できる実績もそろっている状態です。このケースでは、既存案件の単価交渉を進めつつ、余った時間で新規の案件開拓も並行する判断が現実的です。

3つのパターンはあくまで極端な例です。実際には時間の余力も実績の言語化度合いも、パターンAとパターンBの中間にあたる人が多いと考えられます。両方が中途半端な場合は、まず時間の余力を軸にして、どちらの方向から着手するかを仮決めするとよいでしょう。自分がどちらの軸に近いかを、完璧な言葉でなくてもよいので、一度紙やメモに書き出してみることをおすすめします。

05判断基準3|依頼元との関係がどの段階にあるか

単発の案件をいくつか受けている段階では、単価交渉より先に、案件を切らさない関係づくりが優先されます。紹介や継続依頼につながる関係の作り方は『紹介で依頼が続く関係、Webマーケター案件の作り方』で扱っています。

すでに継続的な依頼がある依頼元との関係では、契約更新のタイミングが単価を見直す自然な機会になります。関係が浅い依頼元にいきなり単価の話を持ち出すより、実績を重ねてから交渉するほうが通りやすくなります。

06判断基準4|収入の安定と伸びしろ、どちらを優先したいか

案件数を増やす方向は、1件あたりの依存度が下がるため、収入の変動を抑えやすくなります。単価を上げる方向は、同じ時間でより多く稼げますが、少数の依頼元への依存度が上がりやすくなります。

どちらを優先するかは、性格や生活状況によっても変わります。収入の安定を重視するなら案件数、時間あたりの効率を重視するなら単価という考え方が、ひとつの目安になります。

07ケース別のおすすめ

本業が忙しく、稼働時間にほとんど余力が無い人は、単価を上げる方向を優先してください。実績の言語化にまず時間を使い、限られた稼働時間の中で収入を伸ばす形が現実的です。

時間には余力があるものの、実績や専門性の説明材料がまだ薄い人は、案件数を増やす方向を優先してください。経験を積みながら、説明できる実績を増やしていく段階です。

継続的な依頼元がすでにいて、契約更新のタイミングが近い人は、その依頼元との単価見直しを先に検討してください。新しい依頼元を探すより、着手しやすい場合があります。

時間にも実績にも余力がある人は、両方を並行して進めても構いません。ただし、両方を同時に大きく動かすと管理が煩雑になりやすいため、どちらかを軸に据えることをおすすめします。

08FAQ

案件数を増やすのと単価を上げるの、どちらが早く収入が伸びますか

状況によって異なるため、一概には言えません。実績が少ない段階では案件数を増やす方が着手しやすく、実績がある段階では単価を上げる方が効率よく伸びやすい傾向があります。

単価を上げる交渉に失敗したら、案件を失いますか

失う場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。交渉の伝え方や、依頼元との関係の深さによって結果は変わります。時給の実額データは、この記事の比較対象の整理で紹介した集計を参考にしてください。

案件数を増やしすぎると、質が落ちませんか

稼働時間が上限に近づくと、対応の質が落ちやすくなります。案件数を増やす場合は、複数クライアントを並行管理する体制も同時に整えておくことをおすすめします。詳しくは『副業Webマーケター、複数クライアントを並行管理する方法』で扱っています。

両方を同時に進めるのは現実的ですか

時間と実績の両方に余力があれば可能です。ただし管理が煩雑になりやすいため、まずどちらかを軸に据え、状況を見ながらもう一方に取り組む進め方が現実的です。

この判断は一度決めたら変えられませんか

変えられます。本業の忙しさや実績の積み上がり方は時間とともに変わるため、数か月おきに状況を見直し、優先順位を入れ替えることをおすすめします。