01結論(判断の軸)

Webマーケターの案件獲得チャネルには、直取引・代理店経由・エージェント経由の3種類があります。3つの構造の違いは『Webマーケター案件獲得、直取引・代理店・エージェントの使い分け』で扱っています。

この記事では、実際に多くの人が最初に迷う直取引と代理店経由の2つに絞り、選ぶときの手順と、代理店から直取引へ切り替えるときの判断基準を扱います。

判断の軸はシンプルです。営業や事務にかけられる時間があるか、そして今の実力を発注側にどう証明できるかの2点です。時間が限られ実績も少ない段階では代理店経由、時間を確保でき実績も語れる段階では直取引の比率を上げる、というのが基本の流れになります。

02比較対象の整理(表)

直取引と代理店の比較(収入・契約自由度・営業負担・実績の見せやすさ) 直取引と代理店経由を、収入の変動幅・契約の自由度・営業と事務の負担・実績の見せやすさの4軸で比較した表。直取引は収入の変動が大きく負担も重いが自由度が高く、代理店経由は安定し負担が軽い代わりに代理店の基準に従うことを示す。 直取引と代理店経由の比較 収入・契約の自由度・営業負担・実績の見せやすさの4軸 直取引 代理店経由 収入の変動幅 契約の自由度 営業・事務の負担 実績の見せやすさ 大きい 自分で交渉できる 重い(全て自分で対応) 自分で証明が必要 小さい 代理店の基準に従う 軽い(代理店が代行) 審査基準を満たせばよい
直取引と代理店の比較(収入の変動幅・契約の自由度・営業負担・実績の見せやすさ)
直取引代理店経由
収入の上限仲介手数料が無い分、高くなりやすい代理店のマージンが差し引かれる
収入の安定性案件が途切れると収入が落ちやすい複数クライアントを抱える代理店経由で安定しやすい
契約の自由度条件を自分で交渉できる代理店指定の契約書・進行フォーマットに従う
営業・事務の負担提案・見積・請求まで自分で対応する営業と進行管理の多くを代理店が担う
実績の見せやすさ発注側に直接、実力を証明する必要がある代理店の審査基準を満たせば案件につながる

表のとおり、直取引は上限が高い代わりに負担も重く、代理店経由は上限が抑えられる代わりに負担が軽くなります。どちらが優れているかではなく、今の状況にどちらが合うかで選ぶ判断です。

03判断基準1|今の実力をどう自己評価しているか

直取引では、実務力に加えて、初回商談での説明力や提案力が問われます。過去の実務経験や学習の成果を、発注側に伝わる形で語れるかどうかが分かれ目です。

初回商談での聞き取り方は『初回商談で聞くべきこと、Webマーケターのヒアリング項目』で扱っています。その後の提案書の組み立て方は『提案書の通過率が上がる構成、Webマーケター案件の作り方』で扱っています。直取引を検討するなら、あわせて確認しておくと準備が進めやすくなります。

実績がまだ言語化できていない段階では、代理店経由から始めるほうが現実的です。代理店の審査基準に沿って実務をこなすことで、実績を積み上げてから直取引に挑戦できます。

04判断基準2|営業・事務にかけられる時間があるか

副業で本業と両立している場合、提案書の作成や見積もり、請求書発行にかけられる時間は限られます。代理店経由であれば、これらの多くを代理店側に任せられます。

独立して稼働時間を自分で管理できる場合は、直取引にかける時間を確保しやすくなります。時間の使い方は、直取引と代理店経由のどちらを軸にするかを決める大きな要素です。

05判断基準3|代理店との契約条項をどう確認するか

代理店経由で稼働する場合、契約書に直営業を禁止する条項が含まれていることがあります。将来的に直取引へ切り替える可能性を考えるなら、契約時にこの条項の有無を確認しておいてください。

一般的な業務委託契約でよく見られる書き方の一例(架空のサンプルであり、特定の契約書の引き写しではありません)を示します。

第◯条(直接取引の禁止) 乙は、本契約の有効期間中および契約終了後◯ヶ月間、甲の仲介によらず、甲が乙に紹介したクライアントと直接の業務委託契約その他名目を問わず取引関係を締結してはならない。乙が本条に違反した場合、甲は乙に対し、当該取引により乙が得た報酬相当額を違約金として請求できるものとする。

条項の文言は契約書ごとに異なります。禁止の対象期間、違約金の有無、対象になるクライアントの範囲は、自分が結ぶ契約書の条文そのもので確認してください。判断に迷う場合は、弁護士など専門家への相談も選択肢です。この確認を省いたまま代理店経由の案件を続けると、直取引の話が来たときに、その場で条項の内容を思い出せず判断が遅れることがあります。

代理店経由から直取引へ切り替える判断の分岐 代理店経由で稼働中の状態から、実績と紹介の有無で分岐し、実績複数件かつ紹介がある場合は契約書の直営業禁止条項を確認したうえで、条項が無ければ直取引の比率を上げ、条項があれば代理店へ事前相談する。実績が少ない場合は代理店中心を継続する分岐図。 代理店経由から直取引へ切り替える判断 実績・紹介の有無・契約条項の3点で判断する 代理店経由で稼働中 実績複数件+紹介あり 実績少ない・紹介もまだ 直営業禁止の条項が無いか確認 代理店中心を継続し実績を積む 条項なし:直取引へ 条項あり:代理店へ相談
代理店から直取引へ切り替える判断の分岐

条項の有無を確認せずに直営業を持ちかけると、契約違反として扱われる場合があります。切り替えを検討する段階になったら、代理店へ事前に相談し、独立後の関係を含めて合意しておくとトラブルを避けやすくなります。

以下は、代理店へ相談を切り出すときの会話の流れの一例です。架空の例であり、実際のやり取りではありません。

Webマーケター:いつもお世話になっております。実は取引先の1社様から、今後直接お取引させていただけないかとお声がけをいただきました。契約書にある直接取引の条項について、一度ご相談させてください。 代理店担当者:ご連絡ありがとうございます。詳しい状況を伺えますか。 Webマーケター:はい。その取引先様との案件は、御社経由で半年ほど継続させていただいており、先方から直接のご依頼をいただいた形です。御社を通さない形での契約に切り替えることは可能でしょうか。 代理店担当者:条項の内容と、これまでのご協力の経緯をふまえて、個別に相談させていただきます。まずは条件を整理して、あらためてご連絡します。

相談の切り出し方で意識したいのは、既成事実として報告するのではなく、契約条項に沿って事前に相談する姿勢です。代理店との関係は、直取引に切り替えた後も、別の案件で再びお世話になる可能性があります。急な報告や一方的な通告になると、その後の関係が悪化し、次の案件紹介にも影響しかねません。

06判断基準4|将来、直取引の比率を上げたいかどうか

代理店経由での実務を続ける中で、クライアントから直接の紹介や継続依頼が生まれることがあります。この段階に来たら、直取引の比率を上げる判断を検討する時期です。

WEBMARKSでは、Webマーケター向けの代理店リストを50社以上保有しています。掲載されている案件数は1.6万件以上です。これは自社と提携人材紹介企業の掲載数を合算した数値です(出典: WEBMARKS社内実績集計)。代理店経由の選択肢は幅広く、実務経験を積む入口として活用しやすいチャネルだといえます。

直取引の比率を上げるかどうかは、収入を優先するか、手離れの良さを優先するかという価値観の問題でもあります。どちらか一方に決め切る必要はなく、時期によって比率を調整する運用が現実的です。

07ケース別のおすすめ

副業で本業が忙しく、実績もこれから積む段階の人は、代理店経由を中心に据えるのが現実的です。営業活動に時間を割かず、実務経験を優先できます。

実務経験が数件あり、紹介や継続依頼が生まれ始めている人は、直取引の比率を少しずつ増やす検討に入れます。信頼構築の負担が、紹介によって小さくなっているためです。

独立して稼働時間を自分で管理できる人は、直取引に比重を置きやすくなります。ただし、営業活動が途切れると収入が不安定になるため、代理店経由も並行して持っておくと安全です。

紹介や継続依頼がまだ無く、収入の安定を優先したい人は、代理店経由を中心に据えたまま実務経験を積み増す選択も現実的です。焦って直取引だけに絞る必要はありません。

08FAQ

代理店経由で契約中でも、直取引の話が来たらどうすればいいですか

契約書に直営業を禁止する条項があるかを、まず確認してください。条項がある場合は、代理店に相談せずに直接契約を結ぶと、契約違反として扱われる可能性があります。

直取引と代理店経由は、同時に進めてもいいですか

問題ありません。多くの人が、代理店経由で実務量を確保しながら、直取引の案件も並行して増やしていく形を取っています。1つのチャネルに依存しないほうが、収入の変動を抑えやすくなります。

代理店経由のほうが安全だと考えていいですか

一概には言えません。代理店経由は営業負担が軽い一方、契約条件や単価は代理店に依存します。直取引は自分で条件を決められる分、収入も交渉力も自分の責任になります。安全性は、どちらのリスクを引き受けたいかという選択の問題です。

直取引に切り替えるタイミングの目安はありますか

明確な基準はありませんが、実務経験を複数件語れること、紹介や継続依頼が生まれ始めていることの2つが目安になります。この2つが揃う前に直取引だけに絞ると、営業活動に時間を取られやすくなります。

代理店との契約書で、特に確認しておくべき点はありますか

直営業を禁止する条項の有無、契約解除の条件、報酬の支払いサイトの3点は、契約前に確認しておいてください。将来の選択肢を狭めないためにも、口頭確認だけで済ませず書面で残しておくことをおすすめします。