01結論(判断の軸)
副業Webマーケターが案件形態を選ぶときの判断軸は、在宅か常駐かという二択そのものではありません。本業の勤務形態や移動できる時間、案件の専門性とクライアントとの距離、契約形態と稼働管理のしやすさという3つの軸で、どちらが自分に合うかが変わります。
在宅対応の案件は数として珍しくありませんが、常駐でしか得られない経験や信頼構築のスピードもあります。この記事では比較の軸を整理したうえで、状況別にどちらを優先しやすいかを示します。
案件を探す入口の全体像は『Webマーケター副業、初案件を獲得するまでの実務ロードマップ』で扱っています。この記事はそのうち、案件形態の選び方だけに絞って掘り下げたものです。
02比較対象の整理(表)
在宅案件と常駐案件を、代表的な観点で比較すると次のようになります。どちらが優れているという話ではなく、条件によって向き不向きが変わる点を押さえてください。
| 観点 | 在宅案件 | 常駐案件 |
|---|---|---|
| 通勤・移動時間 | ほぼ発生しない | 移動時間の確保が必要 |
| コミュニケーション頻度 | チャット・オンライン会議が中心 | 対面での密なやり取りが可能 |
| 信頼構築のスピード | やり取りの実績を積み重ねる形になりやすい | 顔を合わせる分、早い段階で信頼を得やすい場合がある |
| 本業との両立のしやすさ | 時間帯を自分で調整しやすい | 決まった曜日・時間の確保が前提になりやすい |
| 向いている案件の例 | 記事制作・分析レポート・SNS運用の一部業務など | 定例会議への同席が前提の運用サポートなど |
WEBMARKSの卒業生実績データでは、案件獲得先の在宅対応率が高いことが分かっています。時給情報のある案件のうち、「フルリモート」「リモート可」の表記があった案件は38件中31件でした。割合にすると81.5%にあたります(2020年〜2025年の卒業生データを集計)。
この81.5%という数値は、時給情報が判明している38件という限られた母集団から算出したものです。案件全体を網羅した調査ではないため、参考値として捉えてください。母数が小さい調査であることを踏まえ、この数字だけで在宅案件が主流だと断定はしません。
03判断基準①本業の勤務形態と移動できる時間
最初の判断基準は、本業の勤務形態です。フルタイムで出社する働き方をしている場合、平日の日中に常駐案件へ対応するのは現実的に難しくなります。移動時間そのものが、副業に使える時間を圧迫してしまうためです。
一方、本業がフレックスやリモート中心で、移動できる時間にある程度の余裕がある場合は、常駐案件も選択肢に入ります。常駐の頻度が週1回程度であれば、両立できる範囲に収まるケースもあります。
自分がどれだけの移動時間を副業に割けるかを、まず具体的に洗い出しておくことをおすすめします。時間の作り方全体は『本業と両立しながらWebマーケター副業の時間を作る具体的な方法』で扱っています。
04判断基準②案件の専門性とクライアントとの距離
2つ目の判断基準は、案件の専門性とクライアントとの距離感です。定例の戦略会議に同席しながら進める案件や、社内の複数部署と連携が必要な案件は、常駐またはそれに近い頻度での対面が前提になりやすい傾向があります。
一方、成果物の納品が中心の案件(記事制作、分析レポートの作成、広告クリエイティブの一部制作など)は、在宅でも完結しやすい業務です。業務の性質そのものが、在宅と常駐のどちらに向いているかを大きく左右します。
案件募集の文面だけで判断がつかない場合は、応募時や初回の商談で、対応可能な形態について具体的に確認しておくと、あとからのミスマッチを防ぎやすくなります。
05判断基準③契約形態と稼働管理のしやすさ
3つ目の判断基準は、契約形態と稼働の管理のしやすさです。在宅案件は成果物やタスク単位で契約する形が中心になりやすく、稼働時間そのものより、納期と品質で評価されやすい傾向があります。
常駐案件では、決まった時間帯に稼働することが前提になる場合が多く、契約書や合意事項に稼働時間の目安を明記しておくことが重要になります。テレワークに関する国の考え方は、厚生労働省が公式サイトでガイドラインを公開しています(参考:厚生労働省公式サイト)。
どちらの形態でも、事前に業務範囲と稼働の目安をすり合わせておくことが、契約後のトラブルを防ぐ基本になります。業務範囲・報酬・支払条件・秘密保持・契約解除といった確認項目は、案件形態にかかわらず共通して重要です。
06判断基準④評価のされ方の違い
在宅案件と常駐案件では、発注側がどこを見て評価するかにも違いがあります。在宅案件は成果物そのものが評価の中心になりやすく、稼働時間や作業の進め方が直接見えない分、納品物の質と期日の順守が重視されます。
常駐案件では、同じ空間で稼働の様子が見えるため、成果物だけでなく、進め方や相談の仕方といったプロセスも評価の対象になりやすい傾向があります。慣れない実務でも、進め方を確認しながら丁寧に進める姿勢が伝わりやすいのは、常駐案件の特徴のひとつです。
在宅案件で信頼を積み重ねたい場合、発注側が特に見ているのはレスポンスの速さと進捗の可視化です。質問や連絡への返信が早いこと、途中経過を自分から共有する習慣があることは、実績が少ない段階でも信頼につながりやすい行動です。
評価軸の違いは、伝え方にも影響します。在宅案件では、成果物や提案書に具体的な数値や根拠を添えると評価されやすくなります。常駐案件では、途中経過の報告や相談のタイミングそのものが、信頼を積み重ねる材料になります。
07案件形態は途中で変えられるか
案件形態は、一度決めたら固定というわけではありません。契約内容や発注側との関係によっては、途中で在宅から常駐へ、あるいはその逆へ切り替えられる場合があります。
常駐案件が本業と両立できなくなった場合、常駐そのものをやめる以外にも選択肢があります。週1日だけ出社する形や、必要なタイミングだけ対応するスポット常駐、オンライン会議での同席で代替するオンライン常駐といった形です。
形態を変えたい場合は、契約の更新タイミングや業務の区切りにあわせて、早めに発注側へ相談することをおすすめします。業務の質を落とさずに続けられることを具体的に示せると、変更の相談は通りやすくなります。
契約内容を確認せずに形態を変えると、稼働時間や報酬の前提が崩れ、トラブルにつながることがあります。切り替えの際は、契約書やこれまでの合意事項を見直し、必要なら書面で更新しておくと安心です。
08ケース別のおすすめ
3つの判断基準を踏まえ、状況別の考え方を整理します。
- 本業がフルタイム出社で、移動時間を確保しづらい場合は、在宅完結型の案件を優先して探す方が両立しやすくなります。
- 本業に時間の融通が利き、対面での信頼構築を急ぎたい場合は、週1回程度の常駐案件も選択肢に入れる価値があります。
- 初めての案件で実績がまだ少ない場合は、在宅の成果物納品型から始め、やり取りの記録を積み重ねる進め方が現実的です。
- 特定の業界知識や社内事情の理解が求められる案件では、常駐に近い形での関わりが評価されやすい傾向があります。
- 将来的にフリーランスとしての独立を視野に入れている場合は、在宅・常駐どちらも経験しておくと、案件の幅を判断する材料が増えます。
- 発注側からの評価がプロセスより成果物で判断されることを望む場合は、在宅の成果物納品型を選ぶ方が実力を示しやすくなります。
- 本業の状況が変わり常駐が難しくなった場合は、週1日出社やスポット常駐、オンライン常駐への切り替えを、早めに発注側へ相談してください。
案件形態にこだわりすぎず、まずは複数の入口を並行して試しながら、自分に合う働き方を見つけていく姿勢が現実的です。案件獲得の入口全体は『Webマーケター案件獲得、直取引・代理店・エージェントの使い分け』でも扱っています。
09FAQ
在宅案件と常駐案件、どちらが単価は高くなりやすいですか
案件の内容や専門性によって差が大きく、形態だけで単価の高低が決まるわけではありません。単価の考え方は『Webマーケターの単価相場、副業とフリーランスの実額データ』で扱っています。
常駐案件は副業でも受けられますか
会社の就業規則や案件の頻度・時間帯によって受けられるかどうかが変わります。頻度が少なければ両立できる場合もありますが、個別の状況に応じた確認が必要です。
在宅案件だけで実績を積むことはできますか
在宅完結型の案件だけでも、成果物を積み重ねることで実績にできます。常駐でなければ得られない経験もあるため、将来的な目標に応じて組み合わせを検討してください。
案件募集に在宅か常駐かの記載が無い場合はどうすればいいですか
応募時や初回の商談で、対応可能な形態について具体的に確認することをおすすめします。記載が無いまま進めると、あとからのミスマッチにつながりやすくなります。
常駐案件の頻度はどれくらいが一般的ですか
案件によって大きく異なり、週1回程度から常時に近い頻度まで幅があります。募集内容を確認し、自分が対応できる頻度と合っているかを事前にすり合わせてください。
テレワークやリモートワークの制度について、公式な情報はどこで確認できますか
テレワークに関する国の考え方は、厚生労働省が公式サイトでガイドラインを公開しています。会社ごとの制度は就業規則で個別に確認してください。
在宅案件は今後も増えていきますか
今後の傾向を断定的に示す一般的なデータは限られています。本メディアで把握している範囲では、自社の卒業生データにおいて在宅対応の案件が一定数を占めていることが分かっています。
常駐案件から在宅案件へ切り替えることはできますか
契約内容や案件によって可能かどうかが変わります。切り替えを希望する場合は、クライアントへ早めに相談し、業務内容や進め方に支障が出ないかを確認することをおすすめします。
在宅案件で評価を上げるには、何を意識すればいいですか
具体的な数値や根拠を添えた成果物と、質問や進捗共有への早い返信の両方を意識すると、実績が少ない段階でも評価を得やすくなります。